恋愛しない若者は本当に増えた?最新データで検証する恋愛離れの実態と理由

恋愛しない若者は本当に増えた?最新データで検証する恋愛離れの実態と理由 ことのは所長の研究ノート

恋愛しない若者は本当に増えた?最新データで検証する恋愛離れの実態と理由

恋愛しない若者が増えた、という言葉を目にすると、「自分だけが取り残されているのでは」と不安になったり、「今の若者は冷めている」と決めつけられているようでモヤモヤしたりします。

ただ、恋愛の話は「恋人がいない」と「恋愛したくない」が混ざりやすく、データの見方を間違えると結論が大きくずれてしまいます。

この記事では、恋愛離れという言葉の中身を整理しながら、数字と価値観の両方から現在地を見直します。

この記事で分かること

  • 「恋愛しない若者が増えた」と言われる理由と、データで確認するときの正しい見方
  • 「恋人がいない」と「恋愛したくない」を分けて考えるための整理軸(定義と分類)
  • 公的・大規模調査を比較しやすくする、主要データ早見表の読み解き方
  • 若者が恋愛に慎重になる背景(お金・時間・心理コスト・安全意識)の現実
  • 恋愛をしない/できないを「問題」にしないための、読者タイプ別の考え方と判断軸

「恋愛離れ」は本当?最初に結論を急がないための前提

「恋愛しない若者が増えた」と聞くと、つい“増えているか/増えていないか”で白黒つけたくなります。
でもこのテーマは、最初に前提をそろえないと、同じデータを見ても真逆の結論が出やすい領域です。

恋原サトル
恋原サトル

恋愛は「感想」だけで語るとズレます。
まずは観察できる指標に分解しましょう。


「増えた」に見える理由:見出し化されやすい数字と体感のズレ

恋愛の話題は、数字が少し動いただけでも強い見出しになりやすい傾向があります。
たとえば「恋人がいない人が増えた」「交際経験が減った」などは、読み手の不安や納得感を刺激しやすく、拡散されやすい。

一方で、体感には偏りが混ざります。周りにカップルが少なければ「恋愛してない人が増えた」と感じやすいし、SNSで恋愛の話が流れてこなければ「みんな恋愛に興味がないのかも」と思いやすい。
つまり、体感は“事実”というより“見えている範囲の印象”になりがちです。

ここで大切なのは、恋愛離れを「若者の性格が変わった」だけで説明しないこと。
景気、働き方、可処分時間、コミュニケーションの場、安全意識など、環境要因が重なると恋愛の優先順位は動きます。
気持ちの問題に見えて、実は条件の問題であるケースも多いはずです。


恋愛の話は“定義”が違うと結論が変わる(ここが炎上ポイント)

恋愛離れの議論が荒れやすい一番の理由は、同じ言葉でも指しているものがバラバラだからです。
たとえば次の3つは似ていますが、別物です。

  • 恋人がいない:今いない、という状態。過去は関係ない
  • 恋愛したくない:意欲や優先度の問題。今の生活事情も影響する
  • 交際経験がない:これまで一度もない、という経験の有無

この区別をしないまま「恋愛離れ」とまとめると、誤解が生まれます。
「恋人はいないけど、恋愛はしたい」人もいれば、「恋人は欲しくないけど、つながり自体は欲しい」人もいる。さらに「恋愛はしたいが今は余裕がない」も混ざります。

炎上しやすいのは、ここを飛ばして「若者が恋愛を捨てた」「恋愛はもう不要」など、価値判断まで一気に言ってしまうときでしょう。
この記事では、価値判断よりもまず“実態の分解”を優先します。


この記事で扱う3つの指標(恋人の有無/恋愛意欲/交際経験)

この記事では、「恋愛離れ」を次の3指標に分けて整理します。これが土台になります。

  1. 恋人の有無(現在の状態)
    今いる/いない。景気や生活リズムの影響も受けやすい指標です。
  2. 恋愛意欲(気持ち・優先順位)
    恋愛したい/したくない/どちらでもない。ここには疲労感や安全意識、将来不安などが反映されます。
  3. 交際経験(これまでの経験)
    一度でも交際したことがあるか。年齢層の切り方、質問の仕方で数字の出方が変わりやすい点に注意が必要です。

この3つを分けて見ると、「恋愛していない人が増えた」の中身が見えやすくなります。
たとえば“恋人がいない”が増えていても、“恋愛したくない”が増えているとは限りません。逆に、恋愛意欲はあるのに行動できないケースもあります。

まずはここまでを前提として、次の章からは実際のデータや価値観の変化を、指標ごとに確認していきましょう。


まず定義:この記事でいう「恋愛しない若者」の3分類

「恋愛しない若者は増えているのか」を語る前に、この記事では“恋愛しない”をひとつの塊にしません。
理由はシンプルで、同じ「恋愛していない」でも中身が違うからです。

恋愛は価値観の話になりやすく、議論が荒れやすいテーマです。
でも、分類してしまえば「どの層が増えているのか」「何が背景にあるのか」を、落ち着いて見られるようになります。

恋原サトル
恋原サトル

データは分類すると、はじめて比較できます。
ここが土台です。


A:恋愛に関心が低い(したいと思わない)

Aは、恋愛そのものへの関心が低い層です。
「今は恋愛したいと思わない」「そもそも必要性を感じない」という状態が中心になります。

この層を理解するときに大切なのは、すぐに“冷めた”“草食”と決めつけないこと。
恋愛の優先順位が下がる背景には、少なくとも次のような要因が入り得ます。

  • 仕事や学業で余裕がない、疲れている
  • 一人の時間や趣味、自己投資を優先したい
  • 恋愛に伴うコスト(時間・気遣い・お金)が重く感じる
  • 失敗や傷つきへの回避が強い(過去経験、家庭環境、対人不安など)
  • 恋愛の“理想像”が高く、始めること自体がしんどい

Aは「恋愛が嫌い」というより、恋愛を“今の生活に入れる理由が薄い”状態のことが多い。
なので、データを見るときも「恋愛意欲が低い人が増えた」のか、「余裕がない人が増えた結果としてそう答えた」のかを切り分ける必要があります。


B:関心はあるが恋人がいない(機会・環境の問題)

Bは「恋愛はしたい気持ちがあるのに、恋人がいない」層です。
ここが増えているかどうかは、恋愛離れの議論の核心になりやすいポイントです。

Bの特徴は、本人の気持ちだけでは説明できないこと。
背景には“機会”と“環境”が絡みます。

  • 出会いの場が少ない(学校・職場・友人関係の変化)
  • オンライン化で“知り合う”は増えても、“付き合う”に進みにくい
  • コミュニケーションの初動が重い(DM文化、既読、温度差など)
  • 経済的不安で将来の話が怖い
  • 恋愛より先に生活を整える必要がある(住居、働き方、メンタル等)

Bは「恋愛したいのにできない」というズレを抱えやすく、
自己否定や焦りにつながりやすい層でもあります。

この層を「恋愛離れ」と呼ぶのは少し乱暴で、実態としては恋愛“したい”が詰まっている層です。
データを見るときは、「恋人の有無」だけで判断せず、「恋愛意欲」や「行動機会」を併せて見ていきます。


C:恋人はいるが恋愛を最優先しない(生活・自己実現とのバランス)

Cは見落とされがちですが、現代の恋愛を理解するうえで重要です。
恋人はいる。けれど、恋愛が人生の中心ではない。そういうスタイルです。

具体的には、こんな感覚に近いでしょう。

  • 付き合っていても「常に一緒」ではなく、各自の生活を尊重したい
  • 連絡頻度や会う頻度が“多いほど良い”とは思わない
  • 恋愛は大事だが、仕事・学び・友人・家族も同じくらい大事
  • 将来の決断(結婚など)を急がず、合意のペースを大切にしたい

この層が増えると、外から見ると「恋愛していない」に見える瞬間が増えます。
たとえば、SNSで恋愛を投稿しない、デート頻度が少ない、周囲に恋人の話をしない。
でも実際は、恋愛の“見え方”が変わっているだけかもしれません。


この3分類(A・B・C)を頭に置くと、次の章でデータを見たときに、結論が雑になりません。
「恋愛しない若者は増えた?」という問いを、
「Aが増えたのか」「Bが増えたのか」「Cが増えたのか」に分解して考えられるようになります。


保存版:若者の恋愛を測る主要データ早見表(出典・指標・読み方)

「恋愛しない若者が増えたか」を見るときは、1つの数字で断定しないのが安全です。
恋人の有無、恋愛したい気持ち、交際経験など、指標が違うと結論も変わるからです。


早見表:調査名/対象年齢/質問/見えるもの(恋人・意欲・経験)/注意点

調査名(出典)対象年齢・対象主な質問の例見えるもの注意点
出生動向基本調査(独身者調査)主に18〜34歳の未婚者交際している異性がいるか/恋人として交際した経験があるか など恋人の有無、交際経験、結婚意向など設問の定義(交際・恋人)と対象(未婚、年齢帯)に強く依存。推移比較は「同じ設問・同じ対象」で見る必要がある
若者のライフデザインや出会いに関する意識調査(こども家庭庁)15〜39歳(未婚・既婚の男女)出会い・交際・結婚観に関する設問群(多数)恋愛・出会いに対する意識、環境要因、結婚観などWeb調査。既婚サンプルは条件付き(若年・結婚年数など)なので、未婚と単純比較する際は対象条件を確認する
人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査(男女共同参画局)20〜69歳の男女配偶者・恋人との関係満足、結婚観・働き方観など恋人・配偶者の関係の実態、価値観若者専用ではないので、若年層だけを抜き出して読む設計が必要。恋愛意欲そのものを直接測る設問とは限らない
国勢調査(統計)全国(年齢階級別に集計)婚姻状態(未婚・有配偶・離別など)未婚率の推移(結婚の「結果」)恋人の有無や恋愛意欲は分からない。恋愛離れの「背景の一部」として補助的に使うのが適切

主要出典メモ:

  • 出生動向基本調査(独身者調査)は、交際相手の有無や交際経験を直接たずねる設問がある(設問例)。
  • こども家庭庁の調査は、15〜39歳を対象に全国Web調査として実施し、サンプル割付や調査時期が明示されている。 (地方公共団体の情報ポータル)
  • 男女共同参画局の調査は、20〜69歳を対象にし、配偶者・恋人との関係(満足など)を扱う設問がある。 (男女共同参画局)

読み方のコツ:単年の数字より「定義が同じデータの推移」を優先

  • まず「何を恋愛と呼んでいるか」を合わせる
    恋人、交際相手、デート、好きな人など、言葉が違うだけで回答は変わります。
  • 比較は同じ設問・同じ対象で
    例えば未婚者だけの調査と、既婚も混ざる調査は、そのまま並べると誤読が起きやすいです。
  • 1回の数字より、同条件の推移を重視
    「今年だけ増えた・減った」は、調査時期や社会状況で揺れます。傾向は推移で見た方が堅いです。
  • 調査方法(Webか面接か等)を確認
    同じテーマでも、取り方が違うと出る数字も違います。断定より「複数データで整合するか」を見ます。

よくある誤解:恋人がいない=恋愛したくない、ではない

恋人がいない状態には、少なくとも次の3パターンが混ざります。

  • 恋愛に関心が低い(したいと思わない)
  • 関心はあるが恋人がいない(機会・環境・タイミングの問題)
  • 恋人はいるが恋愛を最優先しない(生活・自己実現とのバランス)

つまり「恋人がいない人の割合」だけを見て恋愛離れと断定すると、Bの人まで一緒に数えてしまいます。
このズレが、見出しと実態の食い違いを生みやすいポイントです。


データから見える「恋愛離れに見える現象」3つ

ここまでの定義(恋人の有無/恋愛意欲/交際経験)に沿ってデータを読むと、「恋愛が消えた」というより、見え方が変わっている面が大きいです。
特に次の3つが、恋愛離れに見えやすいポイントになります。


交際していない期間が長い層が一定数いる

まず押さえたいのは、「今恋人がいない」人の多さです。

国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査(2021年)では、18〜34歳の未婚者で「異性の恋人または婚約者がいる」割合は、男性21.1%、女性27.8%にとどまっています。
つまり、7割前後は現在の交際相手がいない状態です。

さらに「交際経験」で見ると、同調査では「これまで異性と交際したことがない」割合が、男性51.7%、女性34.2%です。
この2つを合わせて読むと、交際経験がない人が一定数いることに加え、経験があっても“今は交際していない期間”が長い人が増えやすい構造が見えてきます。
出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ


恋愛の優先順位が下がる(仕事・体力・生活が先)

次に、「恋愛したいかどうか(意欲)」の層です。

出生動向基本調査(2021年)では、交際相手がいない未婚者のうち「交際を望まない」割合が、男性36.1%、女性27.5%と示されています。
一定数が「したいけどできない」以前に、「今は望まない」側にいるのがポイントです。
出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ

一方で、「恋人は欲しい」のに環境・負担で動けない層もいます。

こども家庭庁の意識調査(25〜39歳・配偶者も恋人もいない人)では、恋人が欲しい人が64.2%いる一方、現状は恋人がいない人が73.4%です。
さらに「結婚も視野に入れた相手を見つける行動」をしていない人が83.6%で、理由として「出会う機会がない(29.3%)」「費用がかかりそう(17.5%)」「恋愛やコミュニケーションが苦手(16.4%)」「体力・気力がわかない(13.5%)」などが挙がっています。
出典:地方公共団体の情報ポータル

恋原サトル
恋原サトル

恋愛離れかどうかを決める前に、望まない層と、望むが動けない層を分けて読むのが安全です。


恋愛の入口(出会い方)が変わり、統計に乗りにくい行動が増える

3つ目は「入口の変化」です。

出生動向基本調査(2021年)では、交際相手がいる未婚者の出会い方として「インターネットで知り合った」が男性13.6%、女性10.8%と報告されています。
出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ

また、こども家庭庁の意識調査では、交際・結婚相手に出会える場所として「インターネット」が25.1%で、その内訳としてマッチングアプリが多く挙げられています。
出典:地方公共団体の情報ポータル

ここでズレが起きやすいのは、行動がオンライン化・多様化するほど、本人がそれを「恋愛」や「恋人」と定義しないケースが増える点です。たとえば、

  • SNSのDMやコミュニティで親しくなるが、恋人とは呼ばない
  • 会う前提を固定せず、状況に合わせて関わる
  • 恋愛を最優先しない(生活・学業・仕事とのバランスで位置づける)

こうした行動は、「恋人の有無」では拾いにくく、「恋愛していない」に見えやすい一方で、本人の体感としては“つながりはある”ことも起こります。
だからこそ、「どの指標のデータか」を揃えて読むのが重要になります。


背景:若者が恋愛に慎重になる理由(お金・時間・心理コスト)

恋原サトル
恋原サトル

恋愛は気持ちだけでなく、生活の中で続けられる設計があるかどうかです。


経済・可処分所得と恋愛の現実(デート・交際の維持費)

恋愛は、気持ちだけで始められても、続けるにはお金がかかります。
移動費、食事代、連絡手段、服や身だしなみ、イベント、ちょっとした贈り物。
一つひとつは小さくても、積み重なると負担になります。

そして今は、生活の余裕を感じにくい状況が重なりやすいです。

たとえば総務省の家計調査では、単身世帯の消費支出が実質で減少した年が続いていることが示されています。
つまり、使えるお金が増えにくい中でやりくりしている人が多い、という読み方ができます。
出典:総務省

この状態だと、恋愛は「したい・したくない」以前に、「続ける余裕があるか」の問題になりやすいです。
恋愛そのものが悪いのではなく、生活の安全が先に来るだけです。


時間と回復:仕事後に「関係を運用する体力」が残りにくい

恋愛は時間だけでなく、体力と気力も使います。
会う予定を合わせる。
やり取りを続ける。
すれ違ったら話し合う。
こうした「関係を回す作業」は、忙しいほど重く感じやすくなります。

総務省の社会生活基本調査では、若い層ほど一人で過ごす時間が増えている傾向などが示されています。
出典:総務省

一人時間が悪いのではなく、回復や趣味に充てる時間が、今の生活では必要になっていると捉えると整理しやすいです。

恋愛が優先されにくいのは、冷めたからではありません。
まず回復が必要な日々の中では、恋愛を始めるハードルが上がる、というだけです。


心理コスト:傷つくリスク、断る・断られる負荷、気遣い疲れ

恋愛には「感情のコスト」もあります。
うまくいく可能性がある一方で、断られる、温度差が出る、期待が外れる、というリスクもあります。
そのたびに心が消耗するので、最初から慎重になるのは自然です。

さらに今は、恋愛の場が多様です。
便利な一方で、相手の意図が読みづらい、距離感が難しい、情報が多すぎて迷う、といった負荷も増えやすいです。
「恋愛をしたくない」というより、「傷つく確率が高いなら避けたい」という安全志向として表れます。

こども家庭庁の若者調査でも、恋愛や結婚を「他のことより優先してまでしたいとは思わない」とする層が一定数いることが示されています。
恋愛の価値が下がったというより、生活の優先順位が細分化し、恋愛が最優先ではなくなった、と見るほうが誤解が少ないです。
出典:こども家庭庁


この3つ(お金・時間・心理コスト)が重なると、恋愛は「やりたい気持ち」だけでは動きにくくなります。
だからこそ次の章では、データを読むときに「恋人がいない=恋愛したくない」ではない、という前提を丁寧に扱っていきます。


価値観の変化:恋愛をしないのは冷めたからではなく「基準が変わった」可能性

恋愛をしない若者が増えたように見えるとき、気持ちが冷めたというより「恋愛に求める条件が変わった」と捉えると整理しやすくなります。
昔より慎重になったのは、単なる消極性ではなく、生活の守り方や安全の感度が上がった結果でもあります。


自分のペースを守る:自由と境界線(無理しない)

今の若者は、恋愛を「人生の中心に置くもの」と決め打ちせず、仕事・学業・回復時間・趣味などと同列に配置してバランスを取りやすい傾向があります。
ここで重要なのが、自分で選べる感覚です。

心理学では、自己決定理論(Self-Determination Theory)で「自分で選んでいる感覚(自律性)」や「人とつながっている感覚(関係性)」が基本的な欲求として扱われます。
恋愛はつながりを満たしやすい一方で、やり方次第では自律性が削られることもあります。だからこそ、最初からペースや境界線を大事にする人が増えます。

具体的には、次のような基準が出てきます。

  • 返信は即レス前提にしない(生活のペースを守る)
  • 会う頻度は無理に増やさない(疲労や予定を優先する)
  • 恋人ができても交友関係や一人時間を確保する(依存を避ける)

この基準は「恋愛したくない」ではなく、「続けられる形で恋愛したい」という方向の変化です。


安全と同意:関係の安心が最優先になりやすい

恋愛を始めるときに「気が合うか」だけでなく、「安心できるか」を強く重視する価値観が広がっています。
背景には、同意の重要性が社会全体で共有される流れがあります。

政府の資料でも、同意のない性的な行為は性暴力であるという認識の共有を掲げ、啓発を進めています。
出典:文部科学省

また、オンラインでの出会いが一般化した一方で、トラブルや詐欺の情報にも触れやすくなりました。

たとえば、自治体の消費生活センターはマッチングアプリに関する注意喚起を行っています。
出典:消費者庁

警察庁もSNSを悪用した詐欺について統計や注意喚起を公表しており、恋愛や好意を入口にした被害が可視化されています。

その結果、恋愛の入口で「安全設計」を先に考える人が増えます。

  • 会うまでに相手の一貫性を見たい
  • 断ったときに尊重されるかを確かめたい
  • 早い段階で距離を詰められる関係は避けたい

これは臆病というより、リスクを理解したうえでの合理的な慎重さです。


恋愛以外のつながり:友人・コミュニティ・推し活などの存在感

恋愛が「唯一のつながり」ではなくなったことも大きいです。
友人関係、趣味コミュニティ、オンライン上の仲間、推し活など、心の支えを分散させやすくなりました。

ここがポイントで、つながりを求める欲求自体が減ったというより、満たし方が多様化しています。自己決定理論で言えば、関係性の欲求を恋愛だけに依存せず、複数のルートで満たせる状態です。

そのためデータを見るときも、

  • 恋人がいない=恋愛したくない、とは限らない
  • 恋人がいても恋愛を最優先しない人が増えると、体感は「恋愛離れ」に見える
  • 入口が多様化すると、従来型の質問(交際・恋愛意欲)では拾い切れない行動が増える

という読み方がしやすくなります。


FAQ(よくある質問:Q1〜Q4)

Q1|恋愛しない若者は本当に増えている?(数字の見方は?)

結論は、どの指標を見るかで見え方が変わります。この記事で扱っている指標は、恋人の有無、恋愛意欲、交際経験の3つです。これらは同じではありません。

読み間違えを防ぐコツは次の3点です。

  • 質問の定義:恋人とは交際相手なのか、好きな人を含むのか、などで数字が変わります
  • 対象の切り方:年齢(例:18〜34歳)と未婚に限定するかどうかで変わります
  • 推移で見る:単年の上下より、同じ質問での推移を優先します

参考として、国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査(未婚者)では、18〜34歳の未婚者で交際相手がいる割合や、交際経験の有無、恋人を欲しいと思うかどうかなどを分けて把握しています。
出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ

ここからも、恋人がいない=恋愛したくないと単純化できないことが分かります。


Q2|恋愛に興味がないのは問題?放っておいていい?

本人が困っていないなら、基本的に問題扱いする必要はありません。恋愛を最優先にしない生き方も、十分に自然です。

一方で、次のような状態が続くなら、恋愛の有無ではなくつながりの質と量を見直す価値があります。

  • 人との接点が極端に少なく、気分の落ち込みや睡眠の乱れが続く
  • 誰とも深い話ができず、孤独感が慢性化している
  • 恋愛したい気持ちはあるのに、怖さや疲れで動けない状態が長い

WHOは、孤独や社会的孤立が健康に影響しうる公衆衛生上の課題で、若年層でも孤独は珍しくないことを示しています。
出典:who.int

つまり大事なのは、恋愛するかどうかではなく、日常の中に安心できる関係や居場所があるかどうかです。


Q3|恋愛したいのにできない人は何が壁になりやすい?

恋愛したいのに進まないケースは、気持ちの問題というより、だいたい次の3つの壁に分かれます。

  • 機会の壁:出会いの導線が少ない、生活圏が固定、紹介が起きにくい
  • 運用の壁:時間・体力・お金が足りず、関係を続ける設計ができない
  • 心理の壁:失敗や拒否が怖い、傷つきたくない、距離感が分からない

出生動向基本調査でも、未婚者の中で交際相手の有無、交際経験、恋人が欲しいかどうかが分かれており、同じ恋人なしでも中身が違うことが示唆されます。
対策も一括りではなく、まず自分がどの壁に近いかを切り分けるのが近道です。


Q4|恋愛離れは結婚や少子化と直結するの?

直結と断言はできませんが、無関係とも言い切れません。理由はシンプルで、日本は国際的に見ても婚外出生の割合が低い国なので、結婚やパートナー形成の動きは出生動向と結びつきやすいからです。

ただし、少子化には複数の要因が絡みます。

  • 経済や雇用の安定、住居、教育費
  • 長時間労働、ケア負担、家事育児の分担
  • 結婚観や安全・同意の重視など価値観の変化
  • 出会い方の変化(統計に乗りにくい行動も増える)

なので、恋愛離れという言葉で一括りにせず、恋人の有無、恋愛意欲、交際経験といったどの地点で滞っているのかを見ていくのが、現実に近い整理になります。


まとめ:恋愛離れを一言で決めず、「何が増えたのか」を言い直す

恋愛離れという言葉は便利ですが、便利な言葉ほど誤解も生みやすいものです。
この記事で見てきたのは、若者が一斉に恋愛をやめた、という単純な話ではありません。

ポイントは、恋愛に関する指標を混ぜずに見て、背景を分けて言い直すことです。


今日の要点:増えたのは「恋愛しない人」ではなく“恋愛の条件が厳しくなった面”もある

今日の要点を、結論として残します。

  • 恋人がいないと、恋愛したくないは同じではない
    恋人の有無、恋愛意欲、交際経験は別の指標です。ここを混ぜると結論がぶれます。
  • 「しない」ではなく「しにくい」側面が増えている
    お金、時間、体力、心理コストなど、恋愛を続けるための条件が厳しくなると、意欲があっても行動に移りにくくなります。
  • 恋愛の形や入口が多様化し、統計に乗りにくい行動も増えた
    出会い方や関係の作り方が変わると、従来の質問項目だけでは拾い切れない部分が出ます。

もし周りの会話やSNSで「恋愛離れって結局どうなの?」と聞かれたら、こう言い換えると誠実です。
恋愛をしない人が増えたと断定するより、恋愛が起きる条件が厳しくなった面がある、と言った方が正確。

最後に、読むだけで終わらせないための小さな行動を置いておきます。
早見表から、1つだけ「同じ定義で推移が追える調査」を選び、今後のニュースに当てはめて見る。
これだけで、情報に振り回されにくくなります。


ことのは所長のラボノート

ことのは所長
ことのは所長

恋愛は必須科目ではない。せんでもよい。
だが、恋愛離れと語るなら、定義を先に置き、数字は混ぜずに並べることじゃ。
誠実な置き方をした数字は、人を責める道具ではなく、現実をほどく地図になるんじゃよ。

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